新緑がまぶしいほどに美しい五月晴れの良き日(5月28日)に、府中美術館で美術鑑賞会が催された。今回は三部構成で、第一部は創作室にて美術館館長の藪野健先生のお話を聞いた。
第一部
先生は中学生の頃、図画の成績は普通だったとのこと。
その後三人の先生との出会いにより多大な影響を受けた。早稲田大学に入り色々な人がいて、人間には様々な可能性のあるのを知った。
真っ白なカンバスに向かって絵を描きだすと、どこへでも行かれる“時”があり,“誰”とでも会えるし、どの様な“場所”にも行くことのできる、そのような自由自在に自分の思いを表現出来る世界の魅力に取りつかれたのではと私は納得した。
藪野先生による講義
第二部
第二部では、長年府中に暮らしながら制作を続けた植竹邦良(1928-2013)絵画展のタイトル「発掘・植竹邦良ニッポンの戦後を映す夢想空間」の世界に入る。
「奇妙なモチーフが増殖し、入り乱れながら交錯する彼の絵画の底流には、戦後ニッポンの、政治、社会、都市開発といった世相が密かに編み込まれており、徹底した細密描写は異様な迫力をもって映る」とチラシの文言にある通り、ペインターズハイとなった画家の思いが内側から際限なくほとばしり出る前衛的な絵画に圧倒され、めまいを感じそうになりながら鑑賞した。
発掘・植竹邦良展ポスター
画像出典:府中市美術館HP(左記の文字列をクリックすると上記展覧会のサイトを開きます)
第三部
各自昼食をとった後、再び創作室に戻り、第三部が始まった。たまたま藪野先生を訪ねていらした森豪男先生(武蔵野美術大学名誉教授)を交えて9名で談話した。森先生は福島県磐城のご出身で、藪野先生がお描きになった東日本大震災の前と後の絵を見せて頂いた。先生の絵にはコメントが入っておりその時の状況がまざまざと浮かんできたことと思う。絵は写真と異なり描く人の温もりが感じられ、平らな画用紙に描かれているにもかかわらず、非常に立体的に見えるのが不思議であった。
第三部の様子(1)
第三部の様子(2)
おわりに
府中市には未知の歴史が潜んでおり、文化を大切にする街なので、好奇心旺盛な藪野先生の筆はこれからも止まらないのではと思った。先生を囲んで大変有意義で貴重な時間を過ごせた一日であった。
藪野先生を囲んで参加者一同
出席者(敬称略) 20名
柴田弘道(31二法)、西村継之助(38法)、水澤忠弘(38理工)、とも子令夫人、
大野正道(40理工)、大野真美(42文)、中澤俊文(43法)、南三千代(44理工)、
山内宗次(45商)、村崎啓二(47法)、尾花敏雄(47政経)、鈴木正明(54理工)、
日比野悦久(54理工)、小村裕(58政経)、真理令夫人、平野知(58政経)、
松井孝明(58理工)、川口哲也(60社会)、橋本美紀(62文)、
瀬戸綾(平24
スポーツ科学)